クローズアップvol.13「大人の終活ツアー」クラブツーリズム訪問インタビューから終日後、東京都中央区にある月島乗船場より出発する「大人の終活ツアー海洋散骨模擬体験」にメディア取材で参加させていただきました。当日はツアー参加者から話を聞くことができ、とても貴重な取材となりました。
月島桟橋では散骨業者のメモリアルスタイルが定員60名の客船で午前の日程を終えた参加者を迎える準備をしています。ツアー参加者は17名、午前中は都内の納骨堂を見学して昼食を済ませた後の海洋散骨模擬体験です。船内はテーブルごとに式次第のリーフレット、花かご、お茶、お菓子が用意されています。祭壇には遺影と手元供養品が並べられていて、屋上デッキには参加者全員分の椅子が準備されています。メモリアルスタイルの担当者は合同散骨を実施する場合と同じくらいの人数といっていましたが、私にとっては模擬体験とはいえこれまでで最大の人数での散骨取材となりました。
ツアー参加者が到着していよいよ出発です。ツアーの担当者が挨拶したのち、メモリアルスタイルの担当者が船内の設備について説明、船長の挨拶、その後船がゆっくり動き出したところから海洋散骨について、その歴史や法律・マナーの問題、手元供養品などについて分かりやすい説明がありました。参加者の皆さんは熱心に耳を傾け、資料に目を通し、散骨証明書や手元供養品、フォトアルバムや水溶性の折り紙などを手に取って確認していました。
やはりテレビや雑誌、インターネットで見るものと実物とでは大きな差があるようです。参加者同士それぞれ感想を話していました。午前中からツアーで一緒だったこともあるのでしょうか。皆さんが初めて会った同士とは思えないくらいに活発にコミュニケーションを取っているのが印象的でした。
当日は波が高く風も強かったので通常散骨をおこなうポイントよりも手前で模擬散骨をおこなうことになりました。散骨ポイントに向かうまで参加者の方にお話しを伺うことができました。一人目の方はご主人を亡くされた奥様で、お墓に埋葬すること以外で供養の方法を検討していたところこのツアーを見つけて参加されたとおっしゃっていました。二組目の方はご姉妹での参加で、現在お墓は持っているが子ども達に墓の維持管理で苦労をさせたくないので散骨を検討していると話していただきました。この方のお話しで興味深かったのは「お墓は女性が守っている」というお話しで、女性の社会的立場が大きく変わってもその慣習が変わっていないのであれば、なるほどお墓の維持も難しくなるのだと感じました。
散骨模擬体験ポイントまで到着しました。今回は風が強いため後方デッキに椅子を並べて全員が着席、「清澄花子」という仮名の故人を海へ還す模擬散骨を実施しました。黙祷、献酒、散骨、献花と実際おこなう流れをそのままに再現して船が旋回します17名分の献花は海原に大きく広がり、号鍾とともに 合掌します。参加者全員が実際の散骨式そのものと同じ体験ができることは、海洋散骨の素晴らしさを知っていただくうえでとても貴重なことだと思います。
散骨模擬体験を終えて月島桟橋に戻るまでのあいだ、海洋散骨についての質疑応答がありました。ここでも数名の方から質問がありました。参加者全員が本当に熱心で前向きな姿勢なことは本当に素晴らしいと思います。また質問に対してメモリアルスタイルのスタッフがていねいに説明しているので、参加者の理解もさらに深まるのだと感じました。質疑応答の後は各自が屋上デッキや後方デッキ、船内で自由な時間を過ごしていました。
今回の取材で驚いたのは、参加者の皆さんが前向きで明るいという事でした。ご高齢の方もいらっしゃいましたが、皆さん元気で逆に私のほうがパワーをもらったような気がします。また本番さながらに細やかな対応をしていたメモリアルスタイルの方々も素晴らしいと思いました。
ツアーの最後にメモリアルスタイルの方が参加者に「散骨会社は当社だけではない、自分に合った業者を選んでほしい。」と話していました。このような散骨業者の姿勢とクラブツーリズムの取り組みが一緒になることで初めて海洋散骨の認知拡大につながるのだと実感しました。今後もぜひ「大人の終活ツアー」を続けていただきたいです。