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クローズアップ 「うみと大地の自然葬」散骨体験乗船レポート

一般社団法人日本海洋散骨協会に加盟、長崎と福岡に店舗を展開するうみと大地の自然葬のチャーター散骨(個別散骨)を長崎市の伊王島出発の船で体験してきました。台風の影響であいにくのお天気でしたが、透明で美しい長崎の海でおこなう「海の流儀」を大切にした海洋散骨は、心の奥底に響きわたる感動がありました。当日の様子をレポートします。

1組のチャーター散骨に3名のスタッフ

伊王島桟橋のすぐ近くで1隻の船が待っています。私は伊王島はもとより、長崎を訪れたのが初めてだったので、海の美しさに驚きました。体験散骨ということで本番と違う部分もあるかと思ったのですが、通常と同じ3名のスタッフが待機していました。制服は黒いシャツにカーゴパンツ。社長の西さんをはじめスタッフは全員男性で、みなさん「海の男」といった感じです。

海に故人を還し、航行の安全を祈る「龍神祈祷」

周りに他の船がほとんどなく、世界にこの船しか存在していないような感覚の景色と静けさが続き、船は散骨ポイントでゆっくりと止まります。「これより海に故人様を受け入れてもらうよう、またご遺族の航行が安全に終わるよう長崎地方の海の神、龍神様にお祈りします。」という言葉とともにデッキの端に立ち海と船体を酒で清め、全員で合掌をします。船のエンジンが止まった伊王島沖の海は、音を立てることを許さないほどの静寂に満ちています。心地よい緊張感のなか、遺族の思いを龍神様が聞きとどけてくれたような気がしました。

やり直しのきかない海への散骨、その一瞬に向けた準備と演出

「海洋散骨はやり直しのきかない大切な時間。」と話す西さん。散骨ポイントに到着してからも緯度・経度の確認、水溶性の紙袋に入った遺骨や献花の準備、撮影用カメラのセットなど各スタッフがしっかりと対応していきます。そのなかで一番印象に残ったのが波と風の向きを測る「白砂」の使用です。白砂を撒いた時の状況で風と波の向きを判断して遺族が最高の状態で故人とお別れができるよう入念に確認しています。

風向きによっては遺骨や献花が船体方向に流れてしまい、故人が海に還っていく姿を見送ることができません。ただ風と波の方向を読んで船の向きを合わせるのは簡単なことではなく、特に大きな船になるとそれが難しくなるようです。散骨の瞬間を最高の状態で迎えることができるよう、心をこめて準備をする姿勢に西社長の思いを感じました。

故人との最後の対話~魂の解放「水葬の儀」

うみと大地の自然葬では、散骨ポイント洋上で執り行う散骨式を「水葬の儀」と呼んでいます。もちろん、先ほどご紹介した海への祈祷「龍神祈祷」も水葬の儀に含まれます。龍神祈祷が終わり故人を海に還す準備が整ったところで散骨が始まります。

「両手を器を作ってください。」と案内があり、自分の手を合わせて胸の前に置きます。すると西さんが手の中に花びらを敷き詰めて、その上に遺骨の入った紙袋を置いてくれます。「これから故人を送る花道を作ります。準備ができたらお呼びしますのでしばらくお待ちください。」と言ってその場を離れます。私は少しだけ重さを感じる手に注意しがら、きっと遺族は故人がここにいることを感じて、手の中にいる故人(遺骨)と最後の対話をするのだろうと思いました。

海面に花びらが広がりました。デッキの端に膝をついて散骨をおこないます。袋の底から溶けて遺骨が広がるように計算された紙袋は、私の目の前で少し浮かんでから、ふわりと遺骨が海に溶けていきます。たとえようもない一瞬の美しさに鳥肌が立ちました。そして花びらと遺骨は船からゆっくりと離れていきます。

心ゆくまで船の上でお別れを

「ご遺族の気持ちに区切りがつくまで私たちはここで待っています。だから時間を気にせずに使える船を選んでいます。」と話す西さん。長い方で20分ほど海を見続けていた遺族もいらっしゃたそうです。時間をかけて広がってゆく花びらと遺骨を見ながら、遺族の方は故人にどんな想いを馳せるのでしょうか。

鐘の音とともに黙祷をおこない、船はゆっくりと散骨ポイントを旋回します。流れる音楽は「さよならの向こう側」、1曲終わるのとほぼ同時に3周の旋回が終わり長い汽笛が響きます。すると船はスピードを上げて勢いよく散骨ポイントから離れて止まります。散骨ポイントは船からだいぶ離れましたが、その場所を遠くに確認することができます。不思議とこの距離が気持ちに区切りをつけてくれるような気がしました。

しばらくして西さんから「これで〇〇様の水葬の儀を終了いたします。」とひとこと。これ以上ないタイミングで終了を告げられた水葬の儀は、私の心に清々しさと感動を残してくれました。


取材を終えて。今回の取材のために体験散骨を実施していただいた、うみと大地の自然葬(墓守代行センター)の西社長、有難うございました。また体験散骨ということを忘れてしまうくらい、本番と同じように進めていただいたことにも感謝しています。長崎の海と空はとてもきれいでした。その海に感謝して、海の流儀を大切に故人を送る「水葬の儀」はとても素晴らしく、印象深いものでした。

ご協力いただいた散骨施行業者

うみと大地の自然葬
九州全域、基本55海域を中心に「故人様への敬意・御遺族様のご安全・海の世界での礼儀」を尊重した海洋散骨をご提供いたします。日本海洋散骨協会加盟、正規施行元。
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