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クローズアップ セスナ委託散骨同乗レポート

12月の終わりごろ、全国の海域で散骨・海洋葬を実施している海洋自然葬の風が相模湾・三浦半島沖でセスナを使って海洋散骨をおこないました。東京都内の飛行場から出発するセスナに同乗して「空からの散骨」を初体験してきました。冬の冷たく澄んだ空気ではっきりと見える海と空がとてもきれいで、故人を見送るのにふさわしい心地よい1日でした。

航空会社担当者からの説明と搭乗準備

まず出発前に航空会社で事前の説明がありました。散骨ポイントの天候や、搭乗に際しての注意点など説明がありました。私はセスナに搭乗するのが初めてだったので不安なことが多かったのですが、航空会社の担当者から詳しい説明があったので安心して搭乗手続きができました。今回は委託散骨でしたが、ご遺族が散骨される場合でも安心して搭乗できると思います。

航空会社からの説明が終わると、風のスタッフが献花献酒、ご遺骨の写真を何枚も丁寧に撮影します。ここで船での散骨と違う点があります。船では故人の好きだったお酒、飲みものをご遺骨と一緒に海に手向けることができますが、空からの散骨の場合は、航空法に基づく事前の届出で許可を受けたものしか機外に放つことができません。今回の場合はご遺骨と献花のみ許可を受けていたので、献酒は一緒に機内に持ち込むのみになります。準備が整ったら搭乗するセスナまで歩いて向かいます。

離陸して横浜~三浦半島10㎞沖の散骨ポイントへ

離陸後、セスナは旋回しながら徐々に高度を上げていきます。高いところが苦手な私はしばらくの間外の景色を見ることができませんでしたが、眼下には多摩の街並みが広がっていました。セスナは高度約600メートルを飛行します。このまま横浜上空を通って相模湾、三浦半島沖10㎞の海上を目指します。

飛行中の機内は思ったよりも静かです。少し大きめの声であれば会話ができる程度です。時折風向きで機体が揺れるので、船と同様に乗り物酔いしやすい方は酔い止めを飲んでおいたほうが良いでしょう。また搭乗する機体の設備にもよりますが、携帯電話など電波を発する機会の電源を切るよう指示があることもあります。今回は撮影用のセスナも一緒に向かい、散骨風景の写真撮影も行ないました。

澄んだ空から青い海へ散骨

散骨ポイント上空にやってきました。セスナはヘリコプターと違い上空で止まっていることができないため、高度を150メートルまで下げて散骨ポイントの上空を通り過ぎる時に散骨をおこないます。まず風のスタッフがパウダー状にした遺骨が入った袋を持って写真を撮ります。その後窓から海へご遺骨を放ち、合掌します。委託散骨は遺族に散骨の状況を細かな部分まで伝える必要があるのでとにかく写真をたくさん撮影します。散骨を行なう時はほんの一瞬ですが、それまでに必要な準備をしっかりと行なうことが大切だということをあらためて感じました。散骨の後は献花をおこなって飛行場に戻ります。

行きは太陽に向かって飛んでいましたが、帰りは太陽を背にして飛行場まで戻ります。空から眺める横浜の風景もはっきりと美しく見えました。陽の光を背にしても機内は暖房が効いていて寒さを感じません。冬は海と空が一番美しく見える季節なのですが、気温が低いという事もありあまり海洋散骨の実施件数は多くありません。逆に空気が澄んでいる冬は空から海へ故人を見送るのに最も適しているのではないでしょうか。セスナは離陸から約1時間程度で飛行場に戻ってきました。今回は撮影などで距離を多く飛行しましたが、実際は40分程度で往復できるそうです。


取材を終えて。大切な故人の遺骨を海に還す方法は、船で沖へ出る方法以外にも空から行なうという方法があることを体験できました。セスナやヘリコプターの場合は航空会社の担当者が飛行準備や投下物の届出などおこなってくれるのでコンプライアンスの面でも安心です。また万が一に備えた保険も整備されています。費用も船で散骨・海洋葬を行う料金とそれほど変わらないようです。今後空からの散骨が新しい海洋散骨の方法として認知されていくかも知れません。

 
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