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クローズアップ 墓じまい ~遺骨のゆくえ~

2000年代に入ってから急激の件数を伸ばしてきている「墓じまい」。海洋散骨につながるケースもあり、散骨・海洋葬ネットでも墓じまいについて簡単に紹介していますが、今回は「散骨クルーズ」で海洋散骨の実績が多く、墓じまいの実績も豊富な株式会社清蓮の眞如社長にあらためて墓じまいについてインタビューしました。2015年、全国で9万件を超えている墓じまい(※厚生労働省統計・改葬件数より)。なぜいま墓じまいなのか、現状をレポートしたいと思います。

そもそも「墓じまい」とはどういうものなのでしょうか?

簡単に言うと「お墓の引っ越し」です。ご遺骨を別の場所に移すため、これまでの遺骨を安置していた墓を処分することで「墓じまい」といいます。遺骨の居場所を新しい墓、納骨堂、樹木葬墓、永代供養墓、海(海洋散骨)などに移し、新たに供養するので、遺骨を捨ててしまうことではありません。ネガティブな行動ではないのです。

墓じまいをする方はどのような理由で依頼されるのでしょうか?

一般的にはお墓の後継者がいない、お墓が遠方にある等が主な理由となることが多いです。また、墓を管理する寺との関係悪化や不信を理由に墓じまいを決められるケースも多くあります。葬式を行わない直葬が増加する中で、寺との関係が悪くなるケースも多く、それにより納骨が出来ないこともあります。特に寺が遠方にある場合は寺との関係も薄れ、檀家として求められる維持費やお布施などを支払わない家族も増加していると言われています。

 

また、その様な中で墓じまいを進めようとした場合、妥当な金額で寺と折り合いがつかず、良好な状況で墓を仕舞い、離檀することが出来ない状況になることもあります。日常的に寺と懇意にお付き合いがなされていれば、双方の意向も話し合いで折り合いがつくこともあると思いますが、なかなかそうもいかず、トラブルになるケースも多くあると感じます。

どのくらいの費用が必要なのでしょうか?

墓じまいの大きな費用としては、下記の3つがあります。

  1. 墓石を撤去し、更地に戻す現状回復工事費
  2. 供養料、離檀料(寺墓地・檀家になっている場合)
  3. 次に遺骨を安置する場所にかかる費用 など
 

工事費用は条件によって異なる

まず墓の工事に関わる費用は、墓石の量、墓の構造、お墓のある場所の立地条件、墓石の種類など、様々な条件により変わる場合があります。

納骨されている遺骨の状態により、遺骨の取出し方法も変わります。全てが骨壺に収まった状態で取り出すことが出来れば、おおよそ工事費に含まれるのですが、カロート(遺骨の安置室)の床に遺骨が撒かれて場合は遺骨を拾い出さなければなりません。土葬で埋葬されている場合は1~2m程を掘り、遺骨を取り出します。その様な場合は加算されます。また、工事費はエリアにより金額に差があります。以上の事から、一般的な金額が参考にはならないことが多くあります。

お寺には感謝とお礼の気持ちを

次にメディアでも話題になる離檀料ですが、決まったものはありません。寺ごとの考えに基づき決められるものです。そのため離檀料をも求めない寺も多くあります。反対に耳を疑う様な金額を提示する住職もいます。檀家になる際に交わした契約書などがあれば、それに明記されています。しかしながら霊園と違い、契約書およびそれに準じる書類がない場合が多く、金額および支払義務が明確でないことがトラブルや不信を招くことになっているのかもしれません。少なくとも、先祖の遺骨を安置させて頂いた寺には、感謝の気持ちで、お礼をすることをお勧めします。

新しい遺骨の安置場所・供養方法を見つけておく

近年、遺骨の安置場所には様々なスタイルがあります。墓じまいをした後に遺骨を納める場所は熟慮し最も適当な場所や方法を決められることをお勧めします。家族の考え、居住地、ライフスタイル、予算などにより検討されると良いと思います。理想としては、次に遺骨を安置出来る場所・方法を確保してから墓じまいを進めるのが良いと思いますが、近年では自宅供養として、自宅にて保管する方も多くいらっしゃいます。その様なこともできる現代ですので、慌てずに、しっかりと検討し、家族らしい墓選びをして頂けたらと思います。

新しい遺骨の安置場所:新しく墓を建立する、納骨堂、樹木葬、永代供養墓、海洋散骨

一般的に墓に納骨されている骨壺には結露や雨水が溜まり、とても不潔な状態です。遺骨のよってはバクテリアやカビなどにより悪臭がする状態のものもあります。改葬(遺骨を引っ越し)し、新たな場所に安置する前に一度きれいにし、ご先祖様を清潔な状態で納めることをお勧めします。また、新たに安置する場所が小さく、狭い場合は粉骨にしたり、遺骨をまとめたりすることで、多くの遺骨を納めることが出来ます。

墓じまい後の遺骨のゆくえについて教えてください

近年、良く聞くのが永代供養墓です。納骨堂に移される方も多いと感じます。樹木葬や海洋散骨などを選択される方もいらっしゃいます。個々の墓を持たず、また管理をしなくて良いスタイルが良いのでしょう。納骨堂も様々ですが、施主様が希望する期間が過ぎたら、永代供養墓に自動的に納められ、残す家族に迷惑や負担をかけることがないスタイルを選ばれる方も多くいます。永代供養墓や樹林葬、海洋散骨などは負担が少なく、しきたりや決まりに合わせることなく、気軽な気持ちで供養が出来ることが人気の理由なのではないでしょうか。

気をつけなければならないことを教えてください

お寺との交渉

墓じまいにおいて気を付けなければならないことは、寺との交渉です。誠実に「改葬」をしたい旨を伝えて下さい。墓じまい、すなわち離壇されることは寺にとっては痛手です。寺は檀家からの布施や寄付で賄っている部分が多くあります。その檀家が減り、そして、すぐに檀家が増える社会ではありません。住職の気持ちを配慮し、寺と話を進めていただくことをお勧めします。

ただ、寺によっては無謀な条件を提示することがあります。その様な場合は直ちに専門スタッフがいる業者に依頼することをお勧めします。専門業者に依頼することで、直接、住職と交渉することがありませんので、不愉快な思いをすることなく、妥当な金額で決着が付きます。墓に何度も足を運ぶこともありませんので、時間的、肉体的な負担もありません。

当社は墓じまいの専門業者として、多くの実績を積んでまいりました。当社には経験が豊富なスタッフ、専門の弁護士や司法書士、良心的な石材店が連携し、ご対応させて頂いております。また、私(眞如社長)の家が代々続く寺であるため、寺との関わり方、寺側の思い、住職の気持ちもおおよそ理解が出来ます。先祖や家族の遺骨を引っ越しする大切なことですので、依頼となる施主様の気持ち、予算、希望を配慮し、報告、アドバイスを詳細にし、一番最適な方法で、業務を請け負っております。

工事費用の見積金額確認

墓石の撤去・更地返還工事の見積金額は、基本的には最終の請求と同じ金額で提示しております。そのため、墓の場所など詳細にお伺いし、通常は専門スタッフが出向き見積書を作成しております。よく一般的な金額を教えて欲しいとの依頼がございますが、それぞれ条件が違いますので、一般的な金額が適当ではないと思います。特殊な墓、石材が多い墓、山の中にある墓、土葬でなければ、30万円以下になるケースがほとんどです。もちろん条件が非常に悪く、人工で運ぶ距離が長い場所などはもう少し高額になるケースもあります。また地域により金額が異なります。一概には言えませんが、寺指定業者は当社見積りより高いケースが多くあります。理想は相見積を取り、決めることをお勧めします。

改葬許可申請書の作成時期

改葬許可申請書については、遺骨を取り出す当日、もしくはその後に作成することをお勧めします。墓に安置されている遺骨の数、状態により改葬許可申請が変わる場合があります。これについても専門業者に任せていただくと状態に合わせ、適切に対応出来ます。

今後お墓(お寺)と家族、親族の関係はどのように変わっていくと思いますか?

この先何年経ってもやはりお墓もお寺も残っていくはずです。ただそれだけではお寺がどんどん少なくなってしまう、というように危機感を感じているお寺も少なくありません。人が大切ということに立ち返ってお寺がお寺自身の在り方を見直して、地域と家族ぐるみの付き合いができるようにコミュニケーションを取っていく必要があると思います。墓じまいのトラブルは大なり小なり約半分がお金のトラブルです。お寺の経営が墓地に依存せずに潤っていればほとんどのトラブルは解決するのではないでしょうか。お互いの気持ちを正直に話し合い、地域に貢献するお寺、お寺を支える地域というコミュニティを作っていく。そういう社会になって欲しいです。

最後に清蓮の墓じまいについてひとことお願いします

お話ししたように、お客様が私たちのところに相談が来られるときはすでにご家族とお寺で何らかのトラブルが起きていることが多いです。これから墓じまいをお考えの方は当社に限らず、最初に専門業者に相談してみてください。きっと良いお手伝いができるはずです。私の家はもともとお寺の家系でもあり、親族が北海道と大分県でお寺をやっています。お寺側の考え方と、ご家族の気持ちの両方に寄り添ってお話しができる当社は、ご家族とのコミュニケーションを大切にそれぞれのご事情、背景を理解して適切なサービスをご提供しています。

また実施件数が豊富で様々な状況にも対応できます。独自のノウハウでお寺との交渉から改葬の手続き、墓地撤去の工事までスムーズに対応します。お墓の維持管理が負担となって「墓じまい」というお気持ちの整理を検討しているご家族へ少しでも後押しができればと思っています。


「墓じまい」にはいろいろなケースがあり、臨機応変な対応が必要であると話す眞如社長。細かいお話しは清蓮のノウハウの部分になるのでご紹介できませんが、改葬許可申請のタイミングやお墓から取り出したご遺骨の状況に応じた手続きの方法など、興味深いお話しがたくさん聞けました。お寺に墓地の造成をすすめていた石材店や永代供養墓の工事会社がお寺に高額な永代供養墓(合祀墓)の建設をすすめたり、家具、大手文具、重工業、自動車などのメーカーが納骨堂の製造販売事業に参入するなど、お墓を取り巻く環境も変化しています。散骨・海洋葬もひとつの供養の選択肢として多くの方に認知してもらう必要があるとあらためて感じました。

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