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クローズアップ エンディング産業展2017(東京)レポート

散骨・海洋葬がTVなどで大きく取り上げられるようになってから数年が経ちましたが、その在り方が年々変わってきているように感じます。2015年よりスタートした終活・葬儀・供養関連の専門展示会、エンディング産業展(ENDEX)は終活ブームも手伝って注目度が高まり、回を重ねるごとに来場者数が増加しています。エンディング産業展2017(東京)は、海洋散骨の今後について模索する業界の様子が分かる展示会でした。

海洋散骨アドバイザー検定試験を開始(日本海洋散骨協会)

海洋散骨について正しく理解し、体系的な知識を持って消費者にアドバイスができる専門家の養成を目指して新しく作られた「海洋散骨アドバイザー検定試験」。全国の海洋散骨事業者が集まる一般社団法日本海洋散骨協会では、海洋散骨を適切に行うためのルール・マナーを自主的に作成、加盟事業者は協会のガイドラインに沿った散骨の施行をしています。

協会員・非会員を問わず、全国で海洋散骨を行なう事業者や一般消費者へルールとマナーの大切さを知ってもらい、散骨・海洋葬がより良い葬法となるよう検定の告知を行なっていました。

また会場では協会顧問の村田さん、法律顧問の竹内先生による「散骨は違法?合法?グレイゾーン?高まるニーズに対応するための海洋散骨基礎知識」と題したセミナーも開催しました。

宇宙葬と海洋散骨を主軸にパートナー企業と連携(銀河ステージ)

海洋散骨を中心に展開していたブースでメディア取材が多かったのが銀河ステージでした。海洋散骨の取り扱いを始めて3年目となる同社は施行実績のある宇宙葬とともに、葬儀社を中心にパートナー企業との連携を広げて取扱件数を大きく伸ばしています。

終活関連のセミナーも積極的におこない、供養の選択肢としての海洋散骨の認知向上に力を入れています。展示会場でもメモリアルプランナーの佐野さんが「新しい供養のカタチ。宇宙葬、海洋散骨、自然葬・樹木葬、手元供養など」というタイトルでセミナーを開催していました。

LGBTのライフエンディングを考える(ハウスボートクラブ)

海洋散骨の「ブルーオーシャンセレモニー」を運営するハウスボートクラブでは、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの略称)のライフエンディングをテーマにブースを展開、近年その認知と理解が進んで地域社会の対応も変わりつつある中で、今後の課題となるLGBTの終活について考えるセミナーの告知などを行なっていました。

葬儀や海洋散骨の話題にとどまらず、LGBTの生き方や老後についてなどを考えるという他社とは異なる切り口での展開に、興味を持った多くの方で展示ブースがにぎわっていました。

供養のアドバイザー育成(メモリアルスタイル/供養コンシェルジュ協会)

海洋散骨を扱うメモリアルスタイルは、供養コンシェルジュ協会と共同で出展、「供養コンシェルジュ」という資格制度を始めて3年、葬儀・供養業界で認知が上がってきているようです。海洋散骨や手元供養などをはじめ、葬儀後のアフターサポートをワンストップで提案できる「供養のお世話係」の育成に力が入っていました。

海上ではメモリアルスタイル代表、供養コンシェルジュ協会理事の肘井さんによる「葬儀アフターをビジネスにする仕組みとは?」というセミナーも開催していました。

ミニ骨壺が人気(レイセキ)

遺骨から作る手元供養品「麗石」を製造販売、海洋散骨も行っているレイセキは、今年も手元供養品を中心に展開。今年はアルミ製で色、サイズのバリエーションが豊富なミニ骨壺「Withシリーズ」が人気でした。手元供養をメインに置いて、その後の散骨や埋葬の提案をするレイセキのスタイルは他事業者にも波及しているように感じました。

デザインコンセプトにこだわった供養品たち(パイル21)

「琉球海葬」という屋号で海洋散骨を行なっているパイル21は、遺骨の供養を柱に洗骨、粉骨、樹木葬、散骨、手元供養まで多岐にわたるサービスをしています。今回は黒を基調にした落ち着いた展示ブースでデザイナーとコラボレーションした手元供養品などを展示していました。

ブーズでは以前クローズアップで紹介したアッシュオンの「いのりのしんじゅ」も展示されていて、情報番組の取材を受けていました。遺骨を核にして約1年近く時間をかけて作る「いのりのしんじゅ」の注目度の高さがうかがえました。

焼骨の有害物質を無害化する還元剤(日本尊骨士協会)

仏壇・仏具・石材を扱う業者、納棺士、粉骨を行なう事業者などで構成された一般社団法人日本尊骨士協会では、遺骨の適正な処理や骨文化の理解と継承を行なう知識を持った「尊骨士」という資格制度を設けています。その中で最も気になったのが焼骨に含まれる有害物質の六価クロムを無害な三価クロムに還元する「三価クロム還元剤」でした。

焼骨に含まれる六価クロムについては、遺骨を扱う業界ではかねてより問題となっており、粉骨などの作業に従事する方の安全を確保することを目的としたこの商品は、日本海洋散骨協会が販売する六価クロム還元剤「ASH246」と同様に注目すべき商品です。また、海洋散骨をおこなう場合は環境にも配慮してぜひ使って欲しいものです。日本尊骨士協会の三価クロム還元剤は、非会員の事業者にも販売しています。

多様化する海洋散骨業界でも目指すものは同じ

写真は展示会最終日、来場した散骨業者のみなさんで撮影したものです。ライバルでもある同業者が、協会など事業者団体の枠を超えて情報交換できるのが展示会のメリットでもあると思います。ライバル同士でもこうやって集まることができるのは、海洋散骨の素晴らしさを多くの方に知って欲しい、海洋散骨は決して遺骨の最終処分先ではないことを伝えたい。という強い思いがあるからだと感じました。


海に散骨するという行為、それだけを切り取ってみれば大きな差があるものではありません。事業者ごとの特色はそこに至るまでとその後の対応に出てくるのです。コンプライアンスについては言うまでもなく、その事業者が何を大切にしてどんな思いを持っているのか。そこを知ることが良い業者選びの第一歩なのだとあらためて感じました。

価格で業者を選ぶのは簡単です。散骨・海洋葬の実施を決めるとき、散骨業者を選ぶとき。家族で故人の遺骨と向き合って話し合ってみてください。そして価格ではない「価値」に目を向けてみてください。そうすればその価格・サービスが故人と家族にとって本当に価値あるものなのかが見えてくるはずです。

エンディング産業展は一般のお客様も多く来場しています。散骨・海洋葬を検討している方にもぜひ足を運んでもらいたい展示会です。2017年は11月8日~10日大阪で開催、2018年は8月に東京で開催されます。


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