日の入りが16:30頃の12月初旬、横浜の葬儀社、ファミリー・ホールが企画した合同・委託散骨に乗船しました。15:30にみなとみらい・ぷかりさん橋を出発、夕陽とともに故人を見送り横浜の夜景に向かって帰ってくるというこの企画。横浜ならではの冬の海洋散骨を体験させてもらいました。
今回の出発地、ぷかりさん橋は横浜高速鉄道みなとみらい線「みなとみらい」駅から徒歩7分と好立地、しかも桟橋の入り口まで屋根のある場所を通って行くことができます。施設の2階にはレストランがあり、目の前は横浜グランドインターコンチネンタルホテルなので、遠方から来られるご家族も利用しやすい便利な場所です。
3時半近く、この季節はもうすでに陽がかなり傾いています。合同散骨で乗船されるご家族3組と委託散骨の見送りにここまで来たご家族が船の前で写真撮影を行います。桟橋の上は少し風があって肌寒かったのですが、見送りに来られたご家族の名残惜しい表情が印象的でした。全員が無事乗船できたことを確認していよいよ出発です。
ファミリー・ホールは横浜の鶴ヶ峰と港南台、川崎の高津でホールを運営しています。今回は各ホールから担当者が乗船してご家族をサポートしています。他のスタッフが乗船後の案内をしている間に、1柱ずつ故人の名札と遺骨・献花を撮影します。委託散骨ではこのような写真を多く撮影して散骨の様子を伝えることが大切です。
葬儀や遺骨の引き取りから顔見知りの担当者に案内してもらえるのは心強いです。担当者が最後までしっかりと対応してくれるところがファミリー・ホールの特徴です。傾く夕陽を右後ろ手に、船はゆっくりとベイブリッジを越えて散骨ポイントへと向かいます。
ベイブリッジ沖の散骨ポイントに到着しました。夕暮れ時の東京湾は日中のように入港待ちの大型船の姿はなく、ゆっくりと静かに時が流れている感じがしました。東の空には徐々に夜がやってきています。これから一組ずつ散骨をおこないます。
乗船されたご家族はスタッフの案内で後方デッキに向かいます。夕陽を正面に水溶性の袋に入った遺骨を海へと還します。続いて献花、献酒を行います。言葉は少なく粛々と行われる散骨式で、時折目頭を拭うご家族の姿を見ると、散骨は葬儀後にやってくる2度目のお別れの場なのだとあらためて感じます。
合同散骨が終わり、その後の委託散骨も終了した頃、刻々と陽が暮れてゆく風景を船の上から全員で眺めていました。海へ還っていった故人と静かに語らいながら...。
船は横浜港内へと向きを変えます。後方デッキから散骨ポイントを見送ります。夜が色濃くなっていく横浜沖は東から夕月、西には富士山の影が赤い空に映えます。気温も下がってきました。肌寒いです。これから夜の横浜港に向かって船は速度を上げていきます。
途中で船は接岸しているコンテナ船のすぐ横を通っていきます。ガントリークレーンでのコンテナ移動は見ることができませんでしたが、その大きさと迫力に皆さんが写真を撮影していました。散骨後の港めぐりも横浜で行う海洋散骨の大きな魅力です。
ファミリー・ホールのスタッフは周囲に目を配りながら、デッキにいる方を暖かい船室へ案内したり、2Fのデッキへ上がる方、下りる方へ手を添えたりしています。乗船人数が多いのでご家族ごとに担当者がしっかり案内していました。
空から太陽の姿が消えてもその場所は燃えるように赤く、街の灯りとともに横浜の空を彩ります。その刹那をゆっくりと進む船内で全員が見つめています。故人を送った海はとっぷりと暮れ、月が優しく照らしています。
ヨコハマの夜景をバックにカメラを構えるご家族。今日この日、大切な人を海へ送ったことを心に刻むように明るく、清々しい笑顔で写真を撮っていました。夕暮れ時に散骨をした時の涙も、夜景をバックに写真を撮る笑顔も、すべてご家族の自然な姿であり、故人に対する思いであることをあらためて実感しました。
ぷかりさん橋に戻ってきたときはすっかり夜の横浜になっていました。12月、本格的な冬の夕暮れに行なわれた散骨・海洋葬は、冴え渡る空気と美しい夕日、きらびやかな港町ヨコハマの灯りを海に還った故人とともにめぐる思い出深いものでした。
ファミリー・ホールの海洋散骨はご遺骨の引き取りから散骨まで、専任のスタッフが対応しています。今回3組のご家族への各担当者の対応を見ていて、それぞれ信頼関係ができているのが私にも伝わってきました。今後も今回のような新しい企画をどんどん打ち出していって欲しいです。