ペットは家族の一員、大切なパートナーであると思うほど、失った時の悲しみは大きくなります。当然ペットの寿命は人間よりも短く、複数のペットと暮らす人、ペットを亡くしてまた新たにペットを飼い始める人は、家族やパートナーの喪失感を何度も経験することになります。
ペットの葬儀後、遺骨を自宅で供養しながら、いつか来る自分の最期は、愛するペットと一緒に海に還りたい。と願う人が増えてきています。
全国的にペットと人の海洋散骨が増えてきている背景にはペットと一緒に眠りたいという願いに応える墓地や納骨堂がまだまだ少ないということがあります。墓地などを運営するお寺などの宗教上の理由や倫理観の違いでペットの遺骨を同じ場所に埋葬・納骨することを許可していないからです。
ただ最近は徐々にペットと一緒に入れるお墓や納骨堂、樹木葬墓地などが増えてきていますので、今後選択肢は広がっていくでしょう。
最近になって海洋散骨業者にペットの遺骨を粉骨して欲しい。という依頼が増えているそうです。自分が亡くなった後、一緒に海へ散骨したいと願う飼い主が、ペットの遺骨を粉骨して、自宅供養や一部を手元供養に残してペット霊園への埋葬などを希望しているからです。
通常は遺骨の粉骨のみを受ける散骨業者は少ないのですが、事情を説明すれば対応してくれる場合もあります。生前予約を行っている散骨業者に依頼するのであれば、一緒に生前予約をしておくことをお勧めします。
東京で海洋散骨を行なっているブルーオーシャンセレモニーの村田さんは「ペットと人の海洋散骨の依頼は、個別(チャーター)散骨が一番多いです。合同散骨は2018年より始めたので、実績としてはまだ少ないですが、ご依頼は増えています。」と現状を話してくれました。
ご家族や飼い主のお友達同士など、より近い人たちで見送りたいという気持ちがあるからでしょう。ペットOKの合同散骨も、お客様のリクエストに応えるかたちでスタートしたそうです。
「合同散骨はさまざまな考えの方が乗船されるので、これまでペットの散骨はお断りして、個別(チャーター)散骨をお勧めしていました。」と話す村田さん。ペットOKの合同散骨が求められている理由として、ペットロスが社会問題になるなど、ペットと人の関係性がより密接になったという社会的背景があるのではないでしょうか。
海洋散骨を行なうペットのほとんどが犬で、猫はあまりいないそうです。猫は水に濡れるのを嫌がる性質があるので、飼い主が散骨を希望しないのでしょうか。逆に犬は先に天国で待っていて、飼い主を先導してくれるイメージがあるのでしょう。
またペットOKの合同散骨は、ペットを亡くしたご家族同士が悲しみを分かち合う場として、ペットロスを克服するきっかけにもなっているようです。
ペットの海洋散骨について不安なこと、分からないことは散骨業者に相談してみましょう。粉骨や手元供養、人とペットの散骨について、ご自身や家族の思いをしっかりと受け止め、対応してくれるはずです。
人の葬儀、供養と同様にペットの葬儀、供養の在り方も変わってきています。ペットの遺骨は法的には一般廃棄物の分類にあたり、人の遺骨とは異なります。それでもペットは家族の一員であり、最愛のパートナーと思う飼い主にとって、ペットの遺骨は大切なものなのです。海洋散骨に限らず、人とペットが一緒に旅立ち、眠ることが当たり前になる時代は、すぐそこまで来ているようです。